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母子家庭の苦悩
仮に、みなさんが母子家庭(シングルマザー)になったとします。
その時、もっとも気になることは日々の生活費だと思います。
過去25年間の統計をとってみると、母子家庭の世帯数は約2.8万世帯にもなっています(約1.5倍)。
そして就業率も約80%と高くなっていますが、肝心の平均年間就労収入は約181万円~決して、楽な生活になったとはいえません。
そこでこの項では、母子家庭にのしかかる生活費と支援制度について考えてみたいと思います。
母子家庭の生活費の内訳は「食料・住居・水道光熱費・被服」等々で、標準世帯と比較した場合、住居にかける割合が非常に高くなっています。
例えば2004年の母子家庭の1ヶ月の実収入の平均は約217,000円に対して、平均消費支出は191,000円になります。
つまり、母子家庭は「全収入=全消費」という現状が浮き彫りになっているのです。
※貯金をする余裕もまったくないということです。
そのため母子家庭はさまざまな工夫をして節約を行ったり、日常生活にも活用できる国や自治体の支援制度を活用しているのが現状なのです。
母子家庭と節約
では実際に母子家庭は少しでも生活費を抑えるため、どのような節約をしているのでしょうか。
基本的な母子家庭の節約は、生活習慣の見直しがメインになっています。
例えば、「金額が如実に表れる水道光熱費/買い物を工夫して無駄遣いを防ぐ」等々…。
〇日常生活で実践できる節約
「使わないときはコンセントを抜く/普段はカードを利用しない/1つのクレジットカードに決めてポイントを貯める/フリーマケット・リサイクルショップ・ネットオークションの活用
年金や保険料はまとめて払う/目標額を決めて貯蓄する/給料は項目ごとにお金を振り分ける/習いごとは各自治体の学習支援制度を利用する」
母子家庭と支援制度
次に、母子家庭と支援制度の関係について触れてみたいと思います。
母子家庭の中には、国や自治体が行なっている支援制度を「知らなかった/後から知った」という場合も少なくありません。
しかし、母子家庭は想像以上に国や自治体からさまざまな支援制度を受けることができるのです。
そしていくら母子家庭が生活習慣の中で節約をしていたとしても、限界があるのは事実です。
そういうことも含め、母子家庭は国や自治体が行なっている支援制度をきちんと理解したうえで、有効活用する必要があるといえます。
〇普段の生活に活用できる制度
・粗大ごみ等処理手数料の減免制度
児童扶養手当を受給している母子家庭を対象にして、「粗大ごみ等の処理にかかる手数料を減額、または免除する制度」を実施しています。
ただし、粗大ごみ等処理手数料の減免制度を行っていない地域もあるので確認する必要があります。
・上下水道料金の減免制度
上下水道料金の減免制度は、水道局によって免除内容や条件が異なります。
ちなみに東京都水道局の場合、「生活・教育・住宅・医療・介護扶助」を受給、または児童扶養手当や特別児童扶養手当を受給している家庭を対象にしています。
・電車やバスの割引制度
電車や公共のバスなどの定期券・乗車券が割引になる制度で、電車であれば主にJRが実施しています。
またバスの場合は地域や会社によって異なっているため、各窓口で確認する必要があります。
・保育料の免除や減額
年収360万円未満相当のひとり親世帯の場合(母子家庭)、第一子は保育料が半額になり第二子以降が無料になります。
ちなみに「生活保護世帯/ひとり親世帯等で市町村民税非課税世帯」の場合、第一子から保育料が無料です。
離婚の養育費請求
それと母子家庭で父親が生きている場合、母子家庭側は相手側(元父親)から養育費を請求することができます。
そして実は、未婚のまま母親になった場合も養育費を請求することができるのです。
しかし養育費の請求方法が違うので、以下に分けて説明したいと思います。
〇離婚の場合の養育費請求
離婚の場合、最初にしなければいけないことは相手に直接連絡をして、養育費を払ってくれるよう要求することから始まります。
そして相手が養育費の支払いに応じない場合、家庭裁判所で「養育費調停」を申し立てることになります。
養育費調停が始まると、母子家庭側と相手側の間に調停委員が介入して話を進めてくれます。
養育費調停が順調に進めば(相手側が説得に応じてくれれば)、養育費の合意に向かうことになります。
しかし調停委員が介入したとしても、相手側がどうしても養育費の支払いに応じないケースもあります。
このような場合、養育費調停から審判という手続きに移行することになり、裁判所が相手側に支払い命令を出することになります。
それでも相手側が審判内容に従わない場合、相手側の給料を差し押さえることもできます。
未婚の養育費請求
〇未婚の場合の養育費請求
未婚のままシングルマザーになった状態で相手に養育費を請求する場合、最初にしなければならないことは相手に子どもを認知してもらうことです。
ちなみに、認知とは法律的に父子関係を明らかにすることです。
そして相手が認知に応じてくれる場合、役所に認知届を提出してもらうと手続きが完了します。
しかし、相手が認知に応じてくれない場合もあります。
このような場合、家庭裁判所で「認知調停」をしなければなりません。
相手が認知調停で認知に応じてくれれば父子関係が確認されるわけですが、相手が認知調停でも認知に応じない場合、「認知訴訟」という裁判を起こすことになります。
認知訴訟では、DNA鑑定などをして父子関係を確認することになります。
その結果、裁判所が判決で認知決定を下すことになります。
※ちなみに相手が養育費の支払いに応じない場合、離婚の場合と同じように審判になって裁判所が支払い命令を出すことになります。
母子家庭と保険の見直し
上記に明記した内容が、母子家庭にのしかかる生活費と支援制度の概要になります。
最後にもう1つ。
母子家庭になった時、どうしても後回しになってしまうものがあります。
それは保険です。
正直、保険のことまで手が回らないかもしれませんが、無理のない範囲で万が一や将来のことについて備えることも必要です。
ちなみに保険に入るコツとして、必要最低限の保障をしてくれる医療・死亡保険に加入することが挙げられます。
何故なら掛け捨てタイプで、保険料が安価のものが多いからです。
また、子どものために学資保険を積み立てておくのも良いと思います。
このように、家計に無理のない範囲で続けられる保険に見直すようにしましょう。